ウナギも高騰

夏になりウナギが恋しくなる季節となったが、ウナギも値上がり傾向にあるようだ。どうも価格が上昇する商品が増えているようである。日本経済新聞2006年6月30日記事の「ウナギうらめし、店頭価格昨年の2割高――稚魚が不漁、輸入も減少、国産シフト」より

 ウナギの店頭価格が上昇している。稚魚が不漁だったことに加え、輸入食品の安全検査強化などを受けて、中国などからの輸入が減ったため。スーパーなどでは国産中心の品ぞろえに切り替える動きも出ているが、昨年の同じ時期より国産、中国産ともおおむね二割前後高い。消費が拡大する夏場に向け、高値基調が続きそうだ。
 二十九日の東京・築地市場における国産・輸入のウナギかば焼き卸値(高値)は一キロ二千四百十五円。前年同期に比べ四百二十円(二一%)高くなっている。東洋水産によると中国産の輸入価格は一年前と比べて一・五倍という。

ウナギの価格が高騰していることの理由の一つに、中国産ウナギの輸入の減少があるが、これは以下に説明がある「ポジティブリスト制度」の導入が影響しているようである。引用を続ける。

 財務省の貿易統計によると、二〇〇五年度のウナギ加工品の輸入量は、前年度比二七%減の三万二千七百六トン。〇一年度と比べるとほぼ半減した。
 中国産ウナギの輸入減少は、食品の安全基準が強化されたことも背景にある。昨年八月に神戸と大阪で、中国産のウナギから日本では使用が禁止されている病気予防の抗菌剤「マラカイトグリーン」が検出された。以降、中国産ウナギの検査基準が厳しくなり、輸入船への積み戻し指示などが相次いだ。
 さらに今年五月末には農薬(動物用医薬品、飼料添加物を含む)の残留成分が一定以上含まれる食品の流通を原則、禁止する「ポジティブリスト制度」が導入された。この結果、六月十六日までに中国からの養殖ウナギ五件が、食品衛生法違反として廃棄処分などの指示を受けている。
 日本へ輸入されるウナギ加工品で約九割のシェアを持つ中国は、違反した業者に対して当局が輸出禁止などの処分をとる場合がある。
 商社など日本企業が養殖を手がけている中国産ウナギも「安全性向上に多くの労力をかけるようになり、コストが上昇している」という。

国内産品は確かに高いが、厳しい安全基準を満たしながら丁寧に作られているのである。日本経済は「安かろう悪かろう」のデフレ型消費から徐々に脱却しているようである。経済学的には、高付加価値商品が売れるようになれば必ず経済にはプラスになる。消費税率を上げる前に、安定経済成長を確立したいところだ。