みちのく銀行、ロシア現地法人売却へ

青森県には都市銀行の支店がほとんどない。その代わり、青森銀行みちのく銀行という2つの地方銀行が大きな役割を果たしている。支店とATMを県内各所にきめ細かく配置しているので、県内にいる限りは不便を感じない。
みちのく銀行は邦銀でも珍しいロシア進出を果たしており、際立った特徴を持つ地方銀行である。しかし、最近不祥事が相次いで経営を不安視する声も上がっている。(詳しくは東奥日報特集記事・激動・みちのく銀行を参照のこと。)
遂にみちのく銀行は、大きな特徴だったロシア現地法人を手放すことになってしまった。
青森とロシア、日本とロシアをつなぐ貴重な役割を降りるというのは、青森には大きな損失になるだろう。特に、特徴ある青森経済を構築する上では大変残念な結果である。

東奥日報2006年10月12日記事のみち銀ロシア法人を70億円で譲渡より

 みちのく銀行のロシア現地法人売却問題で、同行は十二日、みずほコーポレート銀行に約七十億円で株式譲渡すると発表した。ロシア金融当局の認可が得られ次第、譲渡する。同時に、両行はロシア事業を相互補完するための業務提携契約を交わした。
 みち銀はさらに、香港現地法人も十二月をめどに解散すると発表。海外の銀行業務から撤退し、情報収集業務が主任務の上海駐在員事務所のみが残る形となった。
 ロシア現地法人の譲渡収益についてみち銀は、譲渡額から資本相当額約五十億円を差し引いた、二十億円程度と見込んでいる。収益は、先日公表したふるさと貢献基金などの地域振興に充てる方針。譲渡の認可時期は二〇〇七年六−八月になる見通し。

この正式発表に先立つ同誌同日記事のみち銀がロシア現地法人売却方針より

 みちのく銀行は、ロシア現地法人の取り扱いについて、みずほコーポレート銀行に売却する方針を固めたことが十一日、分かった。十二日にも臨時取締役会を開き最終的に判断する予定。売却額は数十億円とみられる。
 ロシア金融当局は、みずほコーポレート銀のみち銀現法買収を容認するもようで、法人、個人取引認可を持つみち銀現法のライセンスをそのまま継承する見通し。
 ただ、みずほコーポレート銀は現法のモスクワ本店、ユジノサハリンスクハバロフスク両支店すべてを引き継ぐかどうかは不透明な情勢となっている。
 みち銀は取材に対し「話せることは何もない」としている。
 みち銀のロシア現法の売却は今年六月に浮上した。みずほコーポレート銀が、ロシア進出を検討している中で「みち銀現法の買収は、選択肢の一つ」と示唆。みち銀も「顧客や地域に貢献できるのは何か、海外事業も含め見直している」と説明していた。
 みち銀は一九九九年、邦銀初の100%出資現地法人みちのく銀行(モスクワ)」をモスクワに開設。二〇〇二年にユジノサハリンスク、〇三年にハバロフスクに支店を設けた。為替業務のほか個人、法人取引を行い、現地住民向けの住宅ローンも取り扱っている。