そば・入〆(いりしめ)

いりしめの天ぷらそば

入〆(いりしめ)は創業1902年(明治35年)、青森では有名な老舗のそば屋である。お店のある青柳は、堤川の河口に位置し港町として古くから栄えた街であった。ひっそりとしたたたずまいは、往時の繁栄ぶりを今に伝えている。
雪の季節なので風除けが設けられた入口からのれんをくぐる。店内は昔ながらの食堂といった風情。お札のように掲げられたメニューが趣深い。店内の精算所が四角い窓のようになっていて、いかにも歴史を感じる雰囲気だ。椅子とテーブルは新しいので気持ちが良い。
寒い日だったので、天ぷらそば(800円)とおにぎり梅(150円)を注文。天ぷらの盛られたそばと一緒にレンゲもどんぶりに入っている。レンゲが別に置かれていないところが、何とも庶民的である。どんぶりからはダシの良い香りが漂って、否応なく食欲を掻き立てられる。
つゆを早速味わってみると、最初は焼き干し系の独特な香りが軽く鼻をついたが、甘みの強いつゆがグッと口いっぱいに広がる。老舗のそばつゆは醤油でしょっぱすぎることもなく、甘めでとても親しみやすい。多くの人が語るように、飲み干したくなるつゆである。
天ぷらはシシトウ、舞茸、茄子、そして大きな海老天。甘めのつゆが染み込んだ天ぷらは格別。ご自慢のそばは、細く切られた白っぽいそば。喉越しも滑らかでスルスル食べてしまう。これは美味しいそばだ・・・。
一緒に頼んだおにぎりは、津軽特有のまんまるなおにぎり。ふりかけられたゴマがこぼれるので、お皿に盛ったまま箸でつまむべし。程よい甘みと酸味の利いた梅干が美味しい。おにぎりはいろいろ食べたけど、最後は梅にたどり着く。
老舗で味わう小さな「味の競演」。夜の営業が早く閉まる(午後7時閉店)のも昔ながら。驕らず飾らず、ひたすらに美味しいそばを提供し続ける。そんなこだわりを感じつつ、店を後にした。思えば、おかみさんがのれんを片付ける様子も昔ながらだ。

入〆 (いりしめ)  (HP)
青森県青森市青柳1-12-22
017-734-2457
11:00〜14:10(LO)
16:00〜19:40(LO)
土日祝11:00〜19:40(LO) 
火曜休 
 
(2011年1月15日 店舗情報更新)
(こちらのレビューは店舗改装前のものです。)