津軽の冬の風物詩・ストーブ列車

ストーブ列車のストーブ

今日の青森は3月とは思えないほど雪が降り積もる。雪の津軽を最も楽しめる場所の一つであり、津軽の冬の風物詩として有名な津軽鉄道「ストーブ列車」に乗ってきました。
歴史を感じさせる駅舎を持つ津軽五所川原駅。今では珍しい硬券の切符に鋏を入れてもらい、連絡橋を渡って3番ホームへ進む。ストーブ列車が待つホームには除雪作業に余念がない駅員の姿があった。紺色の制服と帽子に身を包む駅員は、吹き込む雪を肩にかぶっている。その姿はまさに映画「ぽっぽや」の世界だ。
「ストーブ列車」の車内も歴史を感じさせる。座席のシート以外はほぼすべて木で作られている。天井は思ったよりも高く、ドーム型の形状をしている。

主役のストーブは車内に2台設置されている。だるま型の石炭ストーブで、煙突は天井へ抜けている。駅員が時々ふたを開けて石炭をザッと放り込む。放り込まれた石炭はジュジュッと音を立てて、白い煙をわずかに車内に吐き出す。

車掌室の前には石炭が準備されている。石炭はロシア・サハリン産のものだそうだ。国産の石炭はもう手に入らないという。

石炭ストーブの温もりは体を芯から温めるような優しさがある。折りしも強い吹雪で外は真っ白だが、赤々と燃えるストーブの炎を見ていると心も安らぐ。世間話に花を咲かせる乗客の津軽弁を聞いていると、この列車が生活に根差した普通の列車であることに驚かされる。

吹雪の中、細かい雪を巻き上げながら走る「ストーブ列車」。ここまで郷愁を誘われる風景も珍しいだろう。いつまでも大切にして欲しいと心から願う。