地方経済記事から見る「中央と地方」

東奥日報記事(2007/03/23)の青森地域雇用会議が戦略策定より(関連サイトへのリンクは引用者)

 本県の最重要課題である雇用改善と経済活性化について、国・県・市町村と民間が一体となって取り組む青森地域雇用戦略会議(事務局・青森労働局)は二十二日、「青森地域の活性化・雇用創出のための戦略プログラム」を策定した。(1)働く場の創出・充実(2)「攻めの農林水産業」の推進(3)「あおもりツーリズム」(引用者注・青森らしい観光のあり方)の推進(4)青森の特性を踏まえた地域産業の振興−の四項目を柱とし、これまで以上に国や県の事業を連携させて効果的な施策を展開することを定めている。
 雇用をテーマにしているものの、厚生労働省だけに限らず、経済産業省農林水産省国土交通省なども巻き込んで、幅広い立場から本県の産業おこしを図る。
 同日、青森市で開かれた会議では、事業連携の実践例として、五所川原市での立佞武多(たちねぷた)を核とした観光振興、大鰐町での農業を中核とした産業連携による雇用創出、青森市を含む広いエリアでの東北新幹線新青森駅開業に向けた取り組み−の三つが紹介された。五所川原市は、有力な観光資源である「立佞武多」と地場産品を組み合わせて、相乗的な雇用創出を目指しているが、道路拡張や電柱の地中化(国土交通省)、中心市街地活性化支援(経済産業省)、地域創業助成金活用(厚生労働省)、歩道整備事業(県)などがこれまでに活用されている。今後も、まちづくり交付金や海外観光客の誘致などで省庁の枠を超えた連携が想定される。

五所川原市の例を見ると、道路を広げて中心市街地で「立佞武多」を活用すること一つを取っても、見事な縦割り行政が行われていることが分かります。この新聞記事を読むと、日本が抱える問題点がギュッと凝縮されています。
 
経済効率だけが追求された日本において、地方の経済は犠牲になったと思います。大都市が日本経済を牽引し、地方が大都市に必要な生活物資を供給する。このような役割分担を進める中で、経済効率の高い大都市で稼いだ所得を地方へ移転する構造が生まれました。
それが突然、小泉改革三位一体改革)により、各地方で「独立採算」を取れと言われました。日本全体で採算を取りながら機能の分散を進めてきたのに、機能が特化した地域経済に採算を取れと言う矛盾。中央集権的な統治を進めてきたのに、何のノウハウも与えず地方に中途半端な権限だけを委譲する矛盾。人材も知恵も財源も中央に取られて続けて、突然独立で採算を取れとはどういうことでしょうか。
残念なことに、従来採算など考えたこともない地方は、補助金漬けで自分の力で所得を生む力がなくなってしまいました。まずは、県民も行政も「どうすれば所得が増やせるのか」という意識をまず高める必要があると思います。そして、大都市の論理で進められる改革には、監視の目を光らせる必要があります。