手打そば 会心

会心・蕎麦豆腐

青森市内に数多くある蕎麦屋の中でも、私の中で圧倒的な存在感を誇る蕎麦屋がある。その名は「手打そば 会心」。青森市街から離れて、青森自動車道・青森東インターチェンジの近くにある。店の立地といい、昼のみの営業といい、只ならぬ意気込みを感じる。

店主曰く「本当に食べたい蕎麦」を求めて「自家製粉」にたどり着く。より良い玄蕎麦を求め、北海道全域、茨城県金砂郷、下館市、つくば、その他から買い付ける。厳選された玄蕎麦を石抜き、みがき、粒ぞろい、皮むきを経て石臼で製粉。出来上がった蕎麦粉を水まわしをしてまとめあげ、のし、切るに至る全工程を手作業で行っている。この並々ならぬこだわりが、昼のみの営業につながっているのであろうか。

階段を上り玄関に上がると、靴を脱ぐようになっている。店内は窓側に座敷、反対側にテーブル席を構える。オススメはテーブル席に窓が見えるように座ることである。椅子に座り窓を眺めると、風景画を切り取ったような景色が窓から見える。青森市の郊外なので、夏には清涼感ある緑、冬には荒涼たる雪景色と、四季折々の風景を楽しむことができるのだ。店内は全面禁煙で、蕎麦に集中する環境が整っている。

前菜を兼ねて「蕎麦豆腐」を頂いてみたが、蕎麦の実が入った固めの豆腐で、ほんの少しワサビが載っている。ここに醤油をたらしスプーンで口に運ぶと、蕎麦の心地よい風味が口いっぱいに広がる。申し分ない前菜となる。

雰囲気が整ったところで、蕎麦がやってくる。「田舎ざる」は太くてどっしりした蕎麦。食べ応えのある太さで、噛むと蕎麦の香りが口に広がる。すすれば喉越しの良い蕎麦で、ただ美味しいとしか表現できない。そばつゆの塩梅(あんばい)もどうにも絶妙である。
「天ぷら」がまた格別。油っこくなくサラリとした仕上がりで、海老天は海老の美味しさがギュッと凝縮されている。天ぷら用のつゆが別に用意されている。格別の天ぷらに格別の蕎麦、かつてここまで完成された蕎麦があっただろうかと思うほど素晴らしい。全国の蕎麦通を唸らせる蕎麦屋だろう。

手打そば 会心
青森市三本木字川崎17-5
017-726-9531
11:30〜16:00(15:30LO)
火曜休