純金こけしは売却すべき

純金・純銀こけし

青森県黒石市津軽こけし館にある「純金こけし」が売却の危機にあると言う。以前は売却に反対の意見を持っていたが、もはや潔く売却するべきだと思っている。
理由をいくつか掲げてみよう。第一に、資源価格の高騰により金価格も上昇している。日本全国で金属の盗難が相次いでいる事態を考えると、金塊をいつまでも陳列しておくことは危機管理上も問題がある。財政難の黒石市には売却の利益も大きな魅力であろう。
第二に、すでに話題性が薄れており、再び脚光を浴びる可能性は低い。集客効果よりも盗難の危険の方が大きいように思われる。第三に、「純金こけし」は貴重な観光資源に相違ないが、津軽こけし館および併設されている津軽伝承工芸館の積極的な活用を考えるべきである。
津軽伝承工芸館は総事業費31億円という巨額の資金を投じて建設された。投資額は純金こけしの比ではない。しかも、設計者は黒川紀章氏と誠に豪華な施設なのである。その割には観光客も少なく、市民に活用されているとの声もあまり聞かない。十分な観光資源になりうる施設なのに、その活用はまだまだ不十分である。

東奥日報記事(2007/06/23)の「純金こけしオーナー住民募集断念」にある一口2万円で1万人の個人オーナーを集めるという提案は、残念ながら荒唐無稽と言わざるを得ない。