浅虫温泉・椿館(3)・棟方志功の人柄

浅虫へ 海も山も温泉も

浅虫温泉・椿館で、棟方志功の人柄を示す逸話を聞かせてもらった。現在の社長が子供の頃(50年以上昔)、東京に住んでいた志功の家を先代と一緒に訪ねたことがあるそうです。当時、青森・東京間は大変な長旅でした。そんな苦労を知ってか、志功は訪問を知ると、「よぐきたじゃ〜」と家の奥からドタドタ駆け寄ってきたそうです。子供だった社長をギュッと抱きしめてきたと言いますから、子供も大好きだったのでしょう。

私はこの棟方志功の写真が大好きです。特徴のある黒ぶちに牛乳瓶のような眼鏡。眼鏡の奥を見ると、目が少年のようにキラキラしている。いつも純粋な気持ちでものを見ていた人に違いない。紙をよじって作った鉢巻きが、何ともユーモラス。棟方志功の人柄がよく映し出された一枚だろう。
棟方志功はどんなに偉くなっても津軽弁しか話さず、いつも青森のことを考えている人でした。ねぶた祭が何よりも大好きで、板画(版画)を彫りながらねぶた囃子を口ずさんでいたと聞きます。板に顔を近づけて板画を彫る姿は、あまりにも有名ですね。

旅館に飾られている鯉の絵は、一番下の左右が両親で、その真ん中が子供。まわりに兄弟や親戚が集まっている様子だそうです。中央の子供が駄々をこねて、尻尾を振ってひっくり返っています。困った子供だと世話を焼く両親。ほのぼのとした親子と兄弟の様子が表現されていて、愛情に満ちた作品になっています。
 
浅虫温泉 椿館
〒039-3501 青森市浅虫字内野14
017-752-3341