青森市の代表的フレンチ・ポミエ

青森市堤町にあるフランス料理店「ポミエ」を紹介します。青森市のフランス料理店の中では、最も歴史が長いお店(1990年開店)です。落ち着いた雰囲気の中で、青森の食材を生かしたフランス料理を堪能できます。
個人的に大変気に入っていて、何度も利用しているお店なのですが、今まで記事にする機会に恵まれていませんでした。ようやく紹介することができたという個人的な感想です。

お店の方に案内され、入口の先にある扉を抜けて、テーブルのある部屋へ入ります。テーブルに座ると、入口を開け閉めする音は聞こえませんし、冬には寒い風も入りません。食事の環境を大切にしていることがよく分かります。料理をしっかり楽しむため、禁煙をお願いしている点も好印象です。
大きなカーテンを通して優しく差し込む太陽の光。パステルカラーのテーブルクロスが明るい気持ちにさせてくれます。ゆったりとしたレイアウトで、とても落ち着きます。
シェフが心掛けていることは、青森の食材をフレンチの技法で楽しんでもらうこと。青森の食材を用いた料理が並びます。
ランチはAランチ(1,890円)からありますが、今回は「Bランチ」(2,625円)を注文してみました。

オードブルとして「ホタテのタルタル春巻き仕立て」を選択しました。青森名産のホタテを少し小さく刻みタルタル(tartare:小さく刻む調理法、タタール人が元の意味)にしたものを春巻きに包み揚げています。カリッとした食感の後に続くホタテの旨みを楽しみます。盛り付けの土台には緑鮮やかなアスパラガスと黄色いトマト。赤いトマトを使わないところがシェフの心憎い演出です。
タマネギを使ったマリネを頂上に盛り付けています。最後にカレーパウダーを散らして、夏らしさアップ。夏を感じさせる食材を酸味とスパイスを効かせた味付けで夏らしく仕上げています。


(左)ニンジンを中心とした野菜のポタージュスープ。鮮やかな黄色いスープは野菜をたっぷり使ったスープ。丁寧に裏ごしされて作られているので、野菜のザラザラ感などは全くなく、野菜の美味しさを十分に堪能できます。
一つ申し上げておくと、オードブルもスープも若干量が多めです。これは「盛り」に期待されるお客様への配慮と思われます。私が時々思う「青盛り」(青森独特の盛り)というものです。
(右)フランス料理にパンは欠かせません。パンはカリッと焼き上げられていて香ばしいです。惜しみなくバターを添えてくれている点は嬉しい限り。

メインには魚料理を選択。「鯵ヶ沢産コチのソテー イカ墨のリゾット添え」。鯵ヶ沢産のコチという魚をソテー(sauter:強火で炒める)したものですが、下味の塩加減がとても絶妙で、香ばしく焼き上げられた皮と食べると大変美味しいです。底に敷かれたイカ墨のリゾットはイカの旨みが凝縮されています。アクセントの枝豆は夏らしいですね。
上に盛り付けられたラタトゥイユはサッパリとした仕上がりで、色合いも味わいも夏を感じさせます。バルサミコソースの酸味が、コチの旨みと絶妙な相性です。

デザートの盛り合わせ。手前から、カラメルのアイスクリーム、サツマイモのタルト、バナナのプディング。カラメルのほろ苦さとアイスクリームのミルキーさが絶妙な美味しさ。無添加のアイスクリームなので、すぐに溶け始めてしまいます(こういうナチュラルなアイスを見ると、市販のアイスに含まれる添加剤の威力を思い知らされます)。あまりの美味しさに「あどはだり」(食べた後にもっと食べたいとねだる)したくなります(津軽弁を使ってみたよ)。
サツマイモのタルトは、サツマイモのホクホクな甘さが堪りません。黒胡麻を入れて一見和菓子風のタルト。甘さ控えめでサツマイモの甘さが引き立ちます。
バナナのプディングは小さく控えていますが、驚きの美味しさでした。バナナの甘い香りが凝縮されていて、優しい甘さが口の中に広がります。バナナ好きには至高の一品でしょう。
メインの魚料理も素晴らしい存在感でしたが、デザートの完成度の高さには脱帽です。

最後はエスプレッソで締めます。深いコクと薫りが素晴らしいエスプレッソで、美味しさの余韻を楽しみます。
東京やフランスなど国内外のレストランで修行され、最後にたどり着いた故郷・青森の地。青森の食材をいかに美味しくフランス料理として仕上げるか。フランス料理への理解が必ずしも十分とは言えない青森の地で、シェフは日々挑戦しています。
シェフは「俺は『みちのく料理人』だ」と笑っておられましたが、決して「青森」という小さなフィールドに納まる料理人ではありません。青森が大好きで仕方がないシェフをますます応援したくなりました。
 

フランス料理 ポミエ
青森市堤町2丁目3-15
017-735-7057
11:30〜13:30
17:30〜20:30 (日祝20:00 LO)
第3日曜・月曜休

完全禁煙