黒石・こみせ通り・高橋家住宅


黒石市の中心部は「こみせ通り」と呼ばれ、藩政時代のアーケードがそのまま残る全国的にも珍しい地区になっています。日差しや風雪に耐えてきた庇(ひさし)屋根は、人の往来をずっと見守ってきました。実際に歩いてみると、まるで遠い昔にタイムスリップしたかのようです。黒石から青森へ通ずるこの通りは、「浜街道」と呼ばれ交通の要衝として、かつて大いに賑わいました。

「こみせ通り」を代表する建築である、国指定重要文化財「高橋家住宅」を訪問しました。江戸時代中期の商家の風情をそのまま伝える雰囲気の中で、喫茶が楽しめるという粋なスポットでもあります。


玄関を入ると大きな紋の入った暖簾がかけられていて、その奥には「通り土間」を利用した喫茶スペースが用意されています。
外に目をやれば、大きな樹木を配した立派な庭園を眺めることができます。外の板塀からは窺い知れない立派な庭園です。暖かく晴れた日には、庭園でお茶をするのも気持ちが良いでしょう。
今回は「おしるこ」(600円)を注文しました。

柔らかいお餅をじっくり焼き上げて、表面はこんがりとした焼き目がついています。お餅の焦げた匂いが香ばしく鼻をくすぐります。おしるこには小豆がたくさん入っていて、甘めの仕上がりになっています。小豆の上品な風味を味わうことができます。
「高橋家住宅」の建築年代は1763年(宝暦13年)頃ということで、アメリカ合衆国の建国よりも古い歴史を誇ります。木造一部二階、間口10.9m、奥行き20m。津軽地方の典型的商家構造で、吊り上げ式大戸、通り土間、吹き抜け天井、出格子窓などを具備しています。
高橋家は1717年享保2年)黒石の地に住み着き、代々「理右衛門」を襲名しました。黒石藩御用達(ごようたし)の商家で、主に米穀を扱い、その他に味噌、醤油、塩などの製造や販売を行いました。屋号は「米屋」。
往時の繁栄を物語る「こみせ通り」を秋の風に誘われて歩くのも面白いと思います。
 
国指定重要文化財 高橋家住宅
青森県黒石市中町38番地
0172-52-5374