むつ・アンバター

青森県むつ市青森市から約100キロメートル、車で約2時間半もかかってしまう遠い大地。なだらかな傾斜を持つ釜臥山に抱かれて、海の青と森の緑がまぶしい街。街を歩けば、すぐにその魅力に気付くのですが、まだまだ十分に知られていないようです。
むつ市には大湊海軍があったことから、戦前からハイカラな食べ物が親しまれていたようです。ハイカラな食べ物の代表格である「パン」も、むつとは深い縁があります。
青森県民ならば誰でも知っている「工藤パン」青森県では「ヤマザキ」などと並ぶメジャーな存在ですが、「工藤パン」のルーツはむつ市にあります。1932年(昭和7年)、青森県むつ市赤川に創業者工藤半衛門が小規模のパン工場を開業したことに始まります(青森市への移転は1947年)。
むつのパン食を象徴的に物語るのが、「吉田ベーカリー」の「アンバター」。食パンにあんことバターを挟んだものです。
個人的には、いわゆる「名古屋めし」に属する「小倉トースト」「小倉&ネオマーガリン」に似たものではないのかと思っていました。

「アンバター」(140円)
スミマセン、認識が誤りでした。これはオリジナリティに溢れていて、しかもメチャウマです。「小倉トースト」や「小倉&ネオマーガリン」のように「小倉あん粒あん)」ではなく、「こしあん」を使っているのが大きな特徴。バターには多くの工夫が重ねられているようで、絶妙に柔らかくクセのない優しい味わいに仕上がっています。
こしあんの優しさとバターの優しさは手を取り合って、しっとりと舌に残る食感と味わいになっています。食パンはふわりと柔らかく、その甘さと程好いしょっぱさがあんとバターを優しく包み込んでいます。「小倉トースト」のようなジャンクな雰囲気というより、アンとバターの上品なコラボレーションが感じられる一品です。
吉田ベーカリーの直営店「もんぶらん」に出かければ、「アンバター」だけでなく、いろいろな菓子パンに出会うことができます。

「アップルパイ」(正式な名称は忘れました)(150円)
りんごの甘酸っぱさとザクザクとした食感、りんごの下に控えるカスタードクリームの甘さが、何ともクセになりそう。リンゴをモリモリ使っているのに、150円とは破格です。
「もんぶらん」では、菓子パンだけでなく、ケーキ、おにぎり、お弁当、ジュースまで揃えており、ちょっとしたコンビニのような感覚でも利用できそうです。
 

吉田ベーカリー もんぶらん
青森県むつ市新町9-25
0175-23-0148
7:00〜19:00
第1・3日曜休