大谷製麺・雲谷そば


青森市古川は昔から賑わう町。野菜を行商するおばちゃんが座り、チリンチリンとベルを鳴らしてダンボールを載せた自転車が脇をかすめる。ガラガラと台車付きの買い物かごを引く音が響き、外国語にも聞こえる早口な津軽弁が襲いかかる。何て雑多な雰囲気だろう。青森初心者には正直近寄り難いところがある。一たび青森に慣れてしまえば、「昭和」を感じさせるノスタルジックな雰囲気は堪らない魅力かもしれない。
そんな古川から「雲谷(もや)そば」と呼ばれる蕎麦粉100%の蕎麦を紹介したい。訪れたのは「大谷製麺工場 古川営業所」。


ずっと古川を見つめてきた「大谷製麺工場」の建物。煤けたような黒い壁が歴史を物語る。入り口には大きく「立食そば」と書かれていた。
中に入ると右手のショーケースに多種多彩な麺が並べられている。左手には「雲谷そば」と大きく書かれた暖簾がかかる厨房となっている。中央にはテーブルと椅子が置かれ、簡易な飲食スペースとなっている。

スタンダードに「山菜そば」(400円)を注文してみる。津軽独特のプツプツと切れる蕎麦。すっきりと伸びやかな食感の後に優しく切れてしまう。味わい深いつゆと共にズルズルとすすり、優しく蕎麦を噛みながら、つゆの香りとそばの風味を口の中で漂わせてみる。何とも言えない素朴な美味しさ。大体食べ終わったところで、箸からレンゲに切り替え、どんぶりの底に沈むプツプツと切れた蕎麦を救出する。救出と言っても、改めて食べるだけであるが・・・。
食べ終わった頃には、額に汗を流し体はポカポカとしている。この温もりを頂いて、冬の寒風の中に消えていく。
 
大谷製麺工場 古川営業所 
青森市古川1丁目12-7
017-722-7050
8:00〜
日曜休