八戸・国宝 合掌土偶


八戸市博物館では、正式に国宝指定されたばかりの「合掌土偶」を始め、東北地方各地から出土した土偶を紹介する特別展「土偶展―東北の北と南―」が開催されています(明日7月26日まで)。
今回の展覧会を見逃すと、「合掌土偶」は海外展および帰国展に出品されるため、来年3月末まで本物が見られなくなります。
この展覧会のスゴイところは、フラッシュや三脚を使わなければ撮影可能であること(八戸市博物館の常設展も同様に撮影可能)。縄文土偶を心ゆくまで激写できます! 撮影音がオフにできるデジカメがオススメです。

「国宝 合掌土偶」(1989年、風張(かざはり)1遺跡出土)、縄文時代後期(紀元前1500年頃、今から約3500年前)
展覧会の解説より以下引用。

両手を合わせた姿は大変珍しく、全身が残っている女性の土偶です。当時は、顔料の塗布痕から全身真っ赤な土偶だったと思われます。
身体には、乳房や性器、肛門など人体的特長のほかに一束ねにした髪型、入れ墨をした唇、首飾り、肩パットやボタン付き?の衣服がそれぞれ表現されています。
また、表現された両手は、眉をつり上げた顔の表情とともに力強く握り締められた印象を強く感じさせます。天を仰ぎ、一心不乱に深い祈りを捧げる様子が伝わる秀作といえるのではないでしょうか。その祈りには、新たな生命への安産祈願、自然の恵みや豊かな暮らしへの豊穣祈願が込められていると考えられます。
さらに、別の見方をすると出産時の坐産あるいは仰臥産(仰向け姿勢)という分娩体位の姿勢を表現した可能性もあります。


「合掌土偶」は女性だったのですね・・・。祈りを捧げるひたむきな姿に、縄文人の精神世界を見るような気がします。縄文人は抜歯、入れ墨をしていたので、現代人とはあまりに異なる姿をしていました。医療技術は乏しく、病気になれば祈るしかなかったでしょう。以前NHKで放映していた「ヤノマミ」(南米の原住民)のような生活だったのでしょうか。
縄文時代の世界は、歴史学というよりも文化人類学のような視点で見た方が面白いのかもしれません。
特別展「土偶展―東北の北と南―」では、様々な土偶縄文時代早期から前期、中期、後期、晩期と時代を追って、どのように変化してきたかを知ることができます。

縄文時代中期の土偶。立体的ではなく平面的な土偶が多いのが特徴のようです。そのままマスコットになりそうな可愛らしさがあります。


ハート型土偶と十字型土偶。こういうスタイルの土偶を見ると、モダンアートと何が違うのだろうと不思議な錯覚を起こします。縄文人のアートは、アヴァンギャルド(前衛芸術)だったんですね。
 
八戸市博物館
青森県八戸市大字根城字東構35-1
0178-44-8111
9:00〜17:00(入館は16:30まで)