記事クリップ・ホットアップルサイダー

「ホットアップルサイダー」に関する新聞記事のクリッピング
読売新聞2009年9月20日記事の「移住の主婦ら街おこし」より

浪岡リンゴ 新感覚飲料発売へ

リンゴの里・青森市浪岡に東京から移り住み、リンゴを生かした街おこしに取り組む女性がいる。主婦塚本艶子さん(62)だ。地元住民と地域づくり団体を結成。浪岡産リンゴの販路拡大への起爆剤になればと、今秋、リンゴを使った新感覚の飲み物を売り出す。「浪岡のためにできることは何でもやりたい」。地域に完全に溶け込み、そう目を輝かせる。(岡部雄二郎)
 「『寒いのは苦手なのに青森か』って、最初は不安もありました」。そう笑う塚本さんが、夫の仕事に伴って青森市に来たのは1992年。雪国の生活にもなじみ、子育ても一段落した2001年、若い頃に留学していたニュージーランドと風景が似ている旧浪岡町に一戸建てを購入し、移り住むことを決めた。
 農家の人たちは、毎日のように取れたての野菜や果物を届けてくれ、冬に向けての保存食の作り方を丁寧に教えてくれる。浪岡には都会にはない温かい人付き合いが息づいていた。しかし、県内有数のリンゴ産地でありながら、後継者不足や需要低迷にあえぐ農家の窮状を目の当たりにした。リンゴ農家の長谷川祥治さん(72)と知り合い、切り株が転がるリンゴ畑跡地の荒れ果てた様をみて、「何とかしたい」と心の底から思った。
 だが、1人でできることなど知れている。徐々に増える知人に声をかけ、2007年、市民団体「PaSaPa」を設立した。フランス語で「一歩一歩」という意味だ。1人の力は小さいが、みんなが一歩ずつ進めば大きな力になる。そんな願いを込めた。
 リンゴの木の枝を使ったしおりを発売したのに続き、取り組むのは搾りたてのリンゴ果汁を温めた「ホットアップルサイダー」の売り出しだ。米国では冬になると街角に行列ができる人気だが、日本ではなじみが薄い。知人の米国人から話を聞いた塚本さんがメンバーと話し合い、事業化を決めた。
 「リンゴジュースは冷たいという常識をひっくり返したい。温かい飲み物なら雪国のこの地でも受けるはず」。今春からメンバーと試作を繰り返し、10月から「道の駅なみおか」にスタンドが立つことになった。
 「甘くて本当にうめえじゃ。これ、いけるよ」。試飲を頼んだ長谷川さんは笑顔で太鼓判を押してくれた。
 そのほころんだ顔を見て「私でも浪岡のために役に立てるかもしれない」と感じた塚本さん。街のにぎわいを思い描きながら、今後も一歩一歩、地道に活動を続けるつもりだ。(2009年9月20日 読売新聞)
写真=もぎたてのリンゴと搾りたてのホットアップルサイダーを手に笑顔を見せる塚本さん(左)と長谷川さん(長谷川さんの農作業小屋で)

 
陸奥新報2009年5月15日記事の「ホットアップルサイダーを浪岡新名物に/PaSaPa青森」より


 搾りたてのリンゴ果汁を温めて味わう「ホットアップルサイダー」を青森市浪岡地区の新たな名物にしようと、地区の有志で構成するPaSaPa青森・地域社会づくり研究会(塚本艶子代表)が製法の確立に取り組んでいる。16日から2日間、道の駅なみおかアップルヒルで開かれるりんご花まつりで販売される。
 ホットアップルサイダーは、アメリカではニューヨークの街角などで販売されている“冬の味”の一つで、一般家庭でも親しまれている。
 名に「サイダー」と付くが、炭酸は入っていない。好みに応じてシナモンや生クリームなどを加える。市販のリンゴジュースに比べてやや褐色だが、香り味ともに違和感なく楽しめる。
 13日は塚本代表の自宅で研究会メンバーによる試飲会が行われた。参加者からは「生果では甘さが強い場
合でも、熱を加えることで程よくなった」と評価する声が上がった。
 「リンゴは生果も果汁も冷やすものという固定観念を取り払うことで、楽しみ方や利用法が広がるのでは」と塚本代表。学校給食などにも普及させ、リンゴの消費拡大につなげたい―と期待を寄せている。
【写真説明】ホットアップルサイダー(左)は加熱した市販のリンゴジュース(右)に比べ褐色となるが、香りと味は違和感なく楽しめる