弘前・ゆぱんき


数多くのお店を訪れているつもりですが、弘前市の小さなカフェ「ゆぱんき」ほど、隠れたお店を知りません。深まりつつある秋がますます似合う、最勝院の五重塔。最勝院の参詣者向け駐車場の一角に、ふと目をやると「yupanqui」と書かれた黒板が見つかります。しかし、お店の姿はどこにも見えません。
建物と建物の間の隙間にこっそりと石が敷いた小道があるので、そこを恐る恐るたどると「ゆぱんき」が現れます。一見鄙びたような建物ですが、一歩奥に入ると、分かる人だけが集まる「秘密基地」のような空間になっています。人目を避けて話をするにはピッタリの場所。空いた時間を狙って、一人静かに読書するのもオシャレです。


こちらのお店について語るのは、「まるごと青森」のKuuさんの記事におまかせします。Kuuさんの小気味のいい記事を拝見していると、こちらのお店に流れる独特な空気や心地良さが伝わってきます。

「おひるごはん きょうのゆぱんき定食」(900円)
色とりどりの料理は見た目が美しいだけでなく、どれも少しずつ様々な味わいが楽しめるように工夫されています。甘味もあるもの、酸味のあるもの、歯ごたえのあるもの、柔らかいもの。どれも優しいお味で、本当に美味しいです。
最前列は、左からヒジキの五目煮、茄子のおひたし風。どちらも野菜をダイス状に小さく切って、丁寧に作ってあります。ヒジキは嫌味のない薄味仕立て。茄子は優しく酸味を利かせた「おひたし風」のお料理。
真ん中の列は、左からキャベツと茄子の豆腐キッシュ、ミョウガの甘酢漬け、白カブのステーキ。豆腐キッシュは、オリジナリティ溢れる創作系料理。豆腐をキャベツと茄子を使ってキッシュのように包んで焼いてあります。ミョウガの甘酢漬けは、優しいミョウガの風味が楽しめます。白カブのステーキは、香ばしく焼き上げられた白カブを堪能できます。
奥の列は、インゲンとピーマンのゴマナムルとトマトのマリネ。
ゴマナムルは、インゲンの青臭さとピーマンのほろ苦さを絶妙に残して、何とも癖になりそうな味わい。トマトのマリネは爽やかな酸味と甘味がとにかく絶妙。ホール状のブラックペッパーを使って、優しいトマトの甘さにピリッと優しい刺激を加えているところは只者ではありません。
茄子、ミョウガ、インゲン、ピーマン、トマトなどの夏野菜を積極的に取り入れて、夏をしっかり堪能できる素晴らしい料理でした。全体として優しさに包まれるような嫌味のない味付け。調理法もそれぞれに工夫を凝らし、全く飽きさせません。


オクラと桜海老のご飯とお味噌汁
本当に優しい味わいの炊き込みご飯。ここまで優しい味わいに触れたことがあったでしょうか。桜海老の優しい風味に、そっと添えたオクラが絶妙なアクセント。お味噌汁も優しい味わいで癒されます。こちらの料理を頂いていると、まるで「物語」を聞くように、いろいろな思いが頭をめぐります。

こだわりのコーヒーも追加してみました。石川県能登半島の二三味(にざみ)珈琲から仕入れたこだわりの豆を、淹れるたびにゴロゴロ挽いた挽き立てコーヒーです。手作りの可愛いクッキーをお供に、味わい深いブレンドコーヒーを頂きました。
女性オーナーさんがお一人で手の込んだ料理を丁寧に丁寧に提供してくれます。お一人ゆえに「お待たせして申し訳ありません」と低頭平身な接客で、こちらまで恐縮してしまいます。そもそも急いで食事を求める者が来るべき空間ではありません。時間にも心にも余裕のある洗練された方にオススメいたします。
お一人での運営ですので、込み合う時間の電話でのお問い合わせは、遠慮したいところです。
 
2011年11月より長期休業中です。
 

ゆぱんき
yupanqui
@amail.plala.or.jp
0172-35-4695
弘前市銅屋町63−8
12:00〜22:00 (21:00LO)
火曜休
「ゆぱんき手帖」