八戸・フェザント(FESANT)

太平洋を臨む八戸市には、美しき景勝地・種差海岸があります。東西12キロに渡る海岸の中でも、砂浜が伸びやかに広がる大須賀海岸は、遊歩できる砂浜として東北北部で最大規模を誇ります。


冬のこの季節、顔が硬直しそうになるほど冷たい海風が吹き荒れ、高いうねりを伴った波は岩にぶつかり白く砕け散ります。荒々しい海ではありますが、喧騒に包まれた日常を離れ、失われた自分を取り戻すには最良の機会となります。

海岸線に沿うように走る青森県道1号線から「八戸シーガルビューホテル 花と月の渚」に向かう道。その脇にある小道を進むと「ガーデンレストラン フェザント(FESANT)」が現れます。夏にはイングリッシュガーデンを思わせる庭園が美しいと聞きますが、冬には葉を落とした木々が禁欲的な美しさを魅せてくれます。

シンプルなグレーの板壁が印象的な建物。バレンタインデーを控えていたので、入口には巨大なハートをかたどったリースが飾られていました。エントランスには素敵な雑貨が配置されているので、カメラに収めれば外国を訪問したかのようなポートレートにもなります。
この巨大なハートに出会った瞬間、「ブラブラショー」が「ラブラブショー」に変わりました(笑)

キリッと突き刺すような寒さから一転、店内は薪ストーブの優しい温かさに包まれています。明るい木目のテーブルに真っ赤な椅子が並びます。
ランチメニューとして提示されていたのは、肉・魚料理7種類、パスタ5種類、ピザ5種類。パスタ、ピザともに、それぞれサラダとデザートが付いて1,200円。肉・魚料理では田子牛、青森県産ポーク、銀鱈などを使ったメニューがありました。田子牛のサーロインステーキ(自家製パンまたはライス、サラダ、デザート付きで3,200円)という魅力的なメニューもあります。
今回は特にオリジナリティ溢れる料理を2つ紹介します。

焼サバのピザと三升漬け(サラダ、デザート付きで1,200円)
表面はカリッとしながら、モチモチとした食感が楽しめるピザ生地にまず感動します。トマトベースのソースの上には、味わい深いのに自己主張しすぎないチーズがたっぷり。ほぐした焼サバをネギや味噌とともに和える感じで仕上げられたトッピングが見事なコラボレーション。これはもう「事件」です。
焼サバのトッピングの作り方は、こちら鮫地方に伝わるサバの食べ方をアレンジして開発されたものだそうです。地元に伝わる食文化には深いものがありますね。

青森が誇る和製万能タバスコ「三升漬け(一升漬け)」をチョイチョイと載せることで、サバとチーズの旨みがさらに引き立ちます。恐るべし、三升漬け。そっと持ち上げると、名残惜しむようにチーズがゆっくり離れていきます。美味しく見せる演出として、ピザをリフトしてくれたのはKuuさん。見事な「手タレ」っぷりを披露して頂きました。
次に紹介するのは「焼きりんご」。

焼きりんごは単品での提供ではなく、ケーキセット(700円)として提供されます。店内の薪ストーブを使って作られていることから、冬季限定メニュー(11月下旬〜3月下旬)となっています。りんごは陸奥湊朝市で仕入れた「紅玉」を使用しているそうです。
魅惑溢れるブラウンの焼きりんごには、バニラアイスクリームが添えられています。焼きりんごをそっと口に運ぶと、優しい酸味と甘みがスーッと舌の表面を撫でていきます。自然の甘さをそのまま生かした作りで、プラムを食べているような美味しさがあります。
温かい店内とのバランスを考えて、アイスクリームが添えられていますが、焼きりんごの風味とアイスクリームのミルキーさが溶け合って、至福の時を過ごすことができます。デザートメニューではプリンも大人気だそうで、まるごと青森さんの記事(2008/11/23)でも紹介されています。

海が見えないほど鬱蒼としていた森は、管理上の都合から適切に伐採されたため、木々の間から海を臨む木立に変身。海が見えるという開放感とともに、ワインディングロードを走る車も見えるようになり、少し都会的な雰囲気を漂わせるようになりました。
ぼんやりと木立を眺めながらコーヒーを飲むだけでも至福のひと時を味わうことができます。ひっそりとたたずむ素敵空間のフェザントでした。
 
ガーデンレストラン フェザント Garden Restaurant Fesant
青森県八戸市鮫町小舟渡平3-4
0178-32-3557
11:00〜22:00 (※夜は要確認)
金曜休
 
※夜は、記念日、誕生日などのお祝いのため貸切営業となる場合もあることから、来店前に確認の電話が頂きたいとのお話でした。