東京・国宝 土偶展



東京上野の東京国立博物館「国宝 土偶展」が開催されています。開催は2月21日(日)まで。大英博物館で開催された『THE POWER OF DOGU』の帰国記念展に当たります。
 


今回の展覧会のポイントは、青森県八戸市出土の「合掌土偶」、北海道函館市出土の「中空土偶」、長野県茅野市出土の「縄文のビーナス」の国宝土偶3点すべてが一同に会していること、青森県つがる市出土の「遮光器土偶」や群馬県東吾妻町出土の「ハート型土偶」など土偶のスーパースターも勢ぞろいしていることです。

先月東京に出かけた折に出かけてきましたが、それはもう凄い人人人。あまりに混雑しているので、撮影禁止はもちろんのこと、スケッチも禁止でした。八戸市博物館の土偶展で国宝・合掌土偶も撮影可能だったこととは大違いです。
今回の展覧会を見て、青森県が縄文遺跡の宝庫であることを改めて確認しました。青森県出土の土偶を時代順に少し紹介します。

青森市三内丸山遺跡出土の土偶は多数展示されており、「十字形土偶」(縄文時代中期(前3000〜前2000))はその一つ。大きな口を開けて叫ぶかのような表情を見せています。首の部分で二つに割られ、90メートルも離れた場所でそれぞれ発見されました。このような土偶の破壊と廃棄は、縄文時代中期に見られる行為だそうです。
 
 
 

青森県東津軽郡平内町尾形遺跡出土の「人面付有孔壺形土器」(縄文時代後期(前2000〜前1000))は、壷(つぼ)の様な形に頭を乗せたような形をしています。壷には穴が開けてあり、容器としての実用性はありません。現代人が考えるような神も仏もない時代、瞑想にふけるような顔が描かれた壷に縄文人は何を託したのでしょうか。
 
 
 

青森県つがる市亀ヶ岡遺跡出土の「遮光器土偶」は、土偶としては新しい時代の縄文時代晩期(前1000〜前400)のもの。青森県民の間では「シャコちゃん」の愛称で知られるほど、ポピュラーな存在。一度見たら忘れられないインパクトを誇りますが、国宝ではなく重要文化財に指定されています。シベリアの極北民族が使用する「護眼器」にも似た目をしていますが、現在ではデフォルメされた表現として解釈されています。
 
 
多種多様な土偶の世界は、現代人の発想を遥かに超えています。縄文人の空想力や世界観を垣間見るような興奮に包まれる展覧会です。
 
国宝 土偶
東京国立博物館・本館特別5室
東京都台東区上野公園13-9
2010年2月21日(日)まで
9:30〜17:00 (入館16:30まで)
月曜休
当日一般800円
 
<画像出典>
東京国立博物館
http://www.s-woman.net/eclat/art/vol5.html