センター試験記事にツッコミ(1)

センター試験に関連してダメ報道の典型例を2例紹介する。まずは1例目。

河北新報Yahoo!ニュース)2006年1月24日記事のセンター試験 ICプレーヤー実は“受験生買い取り”より

 大学入試センター試験で初めて実施され、トラブルが続出した英語・リスニングで使用されたICプレーヤーの費用は、受験生が負担する形になっていたことが分かった。プレーヤーは自由に持ち帰れるが、検定料も前年度より2000円アップ。受験生の経済的負担が増すと同時に不公平感も拡大した現行方式に、批判は一層高まりそうだ。
 21日のリスニングは49万人余りが受験し、461人がプレーヤーの不具合などを理由に再テストの対象となった。
 プレーヤーは「電源」など三つのボタンと音量調整のつまみがあるだけで、音声データのメモリーカードを差し込む簡単な構造。再生機能しかない。
 大半の受験生は持ち帰ったが、「ほかに使い道はない。自己採点したら捨てる」と仙台市青葉区の女子高生(18)。青葉区の女子予備校生(19)も「おもちゃみたいで…。いらない」と切り捨てた。
 今回の検定料は3教科以上が1万8000円、2教科以内は1万2000円。前年度に比べ、それぞれ2000円値上げされた。入試センターは「リスニング導入や試験科目の増加、志願者減が要因」と説明し、プレーヤーの単価は明らかにしていない。
 ある大手予備校は対策用に、ほぼ同じ構造のプレーヤーを3000円で販売したが、「サービスの側面があり、人件費と合わせるとほとんど利益はない」と担当者。仙台市内の大手家電販売店も「センター試験のプレーヤーの原価は3000円程度ではないか」とみる。
 試験後、インターネットのオークションには数多くのプレーヤーが出品され、500―3000円の値段が付いている。ただ、新年度に現行方式が継続された場合も、そのプレーヤーは使えない。
 長女が来年、大学を受験する宮城野区の主婦(45)は「ただの無駄遣いに思える。センターの関係者はもっと真剣に考えてほしい」と話している。(下線は引用者)

地方新聞の記事と思って無視していたが、全国ニュースで報道するテレビ局もあったため取り上げる。
第1の点、ICプレイヤー代が追加されたので受験料が上昇しました。これは「受益者負担の原則」により受験生に負担してもらっただけの話。一部受益者のために税金は使えません。批判するのなら、費用がかかるからリスニングテストをやめろと主張すべきである。記事が言う「不公平感」は税金を使ったとしても発生する。
第2の点、ICプレイヤーに汎用性がない(他の用途に使えない、来年度も使えない)。これは汎用性がないから、公平に試験ができるのです。他の用途に使えることは、改造したプレイヤーを持ち込み、試験で悪用される可能性を生みます。あえて汎用性がないことを評価すべきである。
最近の報道によれば、ICプレイヤーは1台2,600円程度だった模様。ICプレイヤーの写真を見ると、メモリースティックを使用しているのでソニー製と推察される。