人生のセイムスケール

ネット上で見つけた興味深いページを紹介したい。
http://art-random.main.jp/samescale/index.html

建築の世界では、新しい建物を計画する際、よく知られた古今東西の建物の平面図や立面図を同じサイズ、スケール(縮尺)で並べて空間の大きさや高さ、そしてコンセプトを比較するセイム スケールというプレゼンテーションの方法がある。

このセイムスケールの考え方を、「人生」に当てはめてみようというのが作者のアイデアである。すなわち、古今東西の老若男女を

この世に存在した生涯日数のみで再配置してみる

という試みである。
個人的には、自分の年齢に近いこともあって34歳のページが興味深かった。特に、乳がんで早世した女流歌人・宮田美乃里さんの圧倒的な存在感に心を打たれた。彼女は、「野に咲く花が、自然に精一杯生き、やがて自然に朽ちていくように、無理な努力をすることなく、生命に執着することなく、自然な死を迎えたい」と考えて、積極的な医療を受けることを拒んだ。

進行性の乳癌に冒され、余命数ヵ月と宣告された女流歌人宮田美乃里氏は、乳房を切除しても女であることの存在証明を刻むために、荒木氏のカメラの前に、自分の裸身を公開した。

自己の存在証明というのは極めて難しい問題だ。自分を見つめなおす時に大きなヒントを与えてくれる、そんな深い深いページだと思う。