体外受精と晩婚化

少子高齢化と晩婚化の流れがなかなか止まらない日本。この現状に関して気になるニュースを見つけた。
読売新聞2005年9月14日付けの65人に1人「体外受精」で誕生、高齢出産増加も影響より

 新生児65人のうち1人は体外受精児――。精子卵子を体外で受精させて子宮へ戻す「体外受精」によって国内で生まれた子供が、2003年の1年間で過去最高の1万7400人に達したことが、日本産科婦人科学会(武谷雄二理事長)の調査で13日明らかになった。
 調査したのは、同学会に体外受精の実施登録施設として届け出ている590施設。それによると、03年の体外受精による出生児数は1万7400人と、前年より2177人増加した。全出生数(112万3610人)に占める割合は1・5%で、この年に生まれた65人の赤ちゃんのうち1人が体外受精児になる計算だ。
 世界初の体外受精児は1978年に英国で誕生し、国内では83年に東北大が成功した。以来、体外受精は年々増え続け、同学会が調査を始めた86年以来の累積出生数は計11万7589人となった。
 調査を担当した久保春海・東邦大教授(産婦人科)は、「治療1回あたりの妊娠率はそれほど向上しておらず、不妊患者の数が増えた結果だろう。安全に妊娠・出産できる年齢限界は35歳以下ということを認識してほしい」と述べ、体外受精件数を引き上げている高齢出産の増加に警鐘を鳴らしている。
(2005年9月14日3時3分 読売新聞 太字は引用者)

この記事では、新生児65人に1人が体外受精児という数字にまず驚く。高齢出産が増える背景には、次のような原因があるだろう。

  1. 女性の高学歴化
  2. 仕事と育児の両立が困難
  3. 若年層の就職難

1の原因では、仕事を始める時期が遅くため、婚期も出産時期も遅くなる。2の原因により、仮に仕事を大学卒業と同時に始めても、出産・育児のために仕事をやめなければならない現状がある。仕事をやめなかったとしても、待機児童問題にあるように都市圏の育児支援体制は貧弱というしかない。(この問題に取り組まず、少子化問題をどうすると騒がれても困る。)3の原因は最近注目されるようになった問題で、どれくらいのインパクトがあるのか未だ解明されていないと思う。
私の周りには、不妊で悩んでいる夫婦が結構います。気になるのは、どの夫婦も35歳以上で上記記事で言及する高齢出産に関係しているということ。今の時代、専門知識をつけようとすれば必然的に婚期も出産時期も遅れてしまいます。実際に会社で働く女性はもちろん、大学院に進学した女性に対しても、出産・育児を支援する動きが必要になってきたと痛感します。