米国版パラサイト・シングル
米国版パラサイト・シングル現象が起きているらしい。自活を始めた子供が再び親元に戻ることから、ブーメラン・キッズ(boomerang kids)と呼ばれているそうだ。
2005年12月30日産経新聞(Yahoo!ニュース)記事のパラサイト・シングル、米で増加 「子と仲良く」親心も変化より
【ニューヨーク=長戸雅子】高校や大学を卒業後、独立して自活を始めた子供が再び親元に戻るというブーメラン・キッズ現象が米国で広がっている。無職、もしくは職業を持っていても家計に入れず、家事もしないという「米国版パラサイト・シングル」だ。増殖の最大の原因は、学費ローンなどの経済的理由や米中枢同時テロの衝撃による故郷回帰への願望などが挙げられているが、疑問を持ちながらもこうした子供を受け入れる親世代の意識や社会の変化も指摘されている。
米カリフォルニア州のバーリーンゲーム。大学卒業後、就職した会社が倒産して息子が実家に戻ってきたマーサ・ジョーンズさんは「彼が居てくれるのはうれしいが、起床は午後一時ですっかりバケーション・モード。そろそろ将来のことに真剣になってもらいたい」。
二〇〇三年の米国勢調査によると、十八歳から三十四歳までの男女で親と同居しているのは27%。十八歳から二十四歳までに限ると半数以上が親と同居している。一方、一九七〇年の調査では二十五歳から三十四歳までの男女で親と同居している人は8%以下、二〇〇〇年には10・5%で、その急増ぶりがうかがえる。
理由の第一に挙げられるのが家賃の高さや学費のローン返済の負担、失業という経済的事情だ。米コンサルティング会社「ソーシャル・テクノロジー」によると、米国の大学卒業者は平均して一万九千ドルの学費ローンを抱えているという。また、〇一年の同時テロによる衝撃や治安への不安が「安心だった子供時代を過ごした両親の家」へ戻らせているとも指摘している。
だが、最大の原因は親世代の意識の変化のようだ。世界四十六カ国に拠点を置く調査会社「シノベイト」が十二歳から三十歳までの子供を持つ千人に行ったアンケートでは、43%の両親が「子供の親友になりたい」と回答した。
「一度自立した子供を受け入れる経済的余裕や発想のなかった一世代前」とは違い、子供に嫌われるのを避け「仲良し」でいることを望む親の姿が浮かび上がる。
こうした悩める親子へのハウ・ツー本「お母さんのところに戻ってもいい?」(リンダ・パールマン・ゴールドマン著)も登場。「『悩んでいるのは自分だけでないと分かって救われた』など多くの反響が寄せられている」(出版元)という。
もっとも、この新しい親子関係を「双方が真に自立するためのプロセス」と肯定的に受け止める考え方もある。社会心理学者のスーザン・ニューマンさんは「親にとっては一種のアダルト・チルドレンを観察する良い機会となり、子供は両親と親としてでなく同じように悩みや問題を抱えた人間として付き合う。互いを客観的に見ることが本当に平等な関係を築くきっかけになる」と話している。(産経新聞)
アメリカでは、大学進学と同時に親元を離れて、就職後もそのまま自活するスタイルが標準的とされてきたが、最近ではこのスタイルにも変化が現れているようである。
最近の米国国勢調査(Census)によれば、18〜34歳の1/4以上(上記記事では27%)が親と同居しており、18〜24歳では男性の56%、女性の43%が親と同居しているそうだ。(出典はこの記事)
記事中の「お母さんのところに戻ってもいい?」("Mom, Can I Move Back in With You?: A Survival Guide for Parents of Twentysomethings" by Linda Perlman Gordon and Susan Morris Shaffer)の著者は、リンダ・パールマン・ゴールドマンゴードン氏である。
Mom, Can I Move Back In With You?
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