生活創造推進プラン

青森県では「生活創造推進プラン」という施策を推し進めている。この「生活創造」という言葉が何とも分かりにくい。
申し訳ないけど、県庁のホームページも斬ってみよう。ホームページの言葉を引用すると次のようになる。

生活創造社会とは、暮らしやすさでは、どこにも負けない地域づくりをめざすことです。
そして、豊かな自然環境の中で、自然のリズムやゆっくりと流れる時間が大切にされ、自分流の豊かさを求めて挑戦していく中で、今まで見えなかった青森で生きることの素晴らしさなど、生活の新たな価値が再発見できる地域です。

これは文章力がない人の文章ですね。第2文がひどい。ダメな点は次のとおり。

  1. まず、「そして」が不要。エレガントな日本語は接続詞を使いません。
  2. 長い文章は短く切る必要があります。あまり長いと論理関係(主語と述語の関係)が見えなくなります。
  3. 「時間が大切にされ」が受動態、「挑戦していく」が能動態なので、主語が分かりにくい。主語を明確にしたいので、すべて能動態にします。
  4. 同一文章の中で、「中で」が2回も出てくる。問題外。
  5. 「など」という言葉があると何を指すのか明確でなくなる。メッセージは明確にしましょう。
  6. 「再発見できる」の意味をあえて強め、「再発見する」と書いてみてはどうでしょうか。

大変ダメな文章です。よくここまでダメな点を押さえたものだ(苦笑) 私が添削すると次のようになる。

生活創造社会とは、暮らしやすさではどこにも負けない地域づくりをめざすことです。
自然のリズムやゆっくりと流れる時間を大切にして、自分流の豊かさを求めて挑戦していきます。
豊かな自然環境の中で、生活の新たな価値を再発見します。今まで見過ごされていた青森で生きることの素晴らしさを一緒に見つけていきましょう。

今度は第1文のひどさが見えてきます。

  1. 「社会とは」と言っているのだから、最後は「社会です」で終わるべき。
  2. 「生活」「創造」がキーワードなのだから、最初はキーワードを用いて端的に表現します。
  3. 「地域づくりをめざす」のは県庁の仕事。県民ぐるみの活動を意図して「地域をめざす」という表現にします。

意味を勝手に類推して書き直します。音読して文章のリズムも直します。

生活創造社会とは、自らの価値観で生活を創造していく社会です。暮らしやすさではどこにも負けない地域をめざします。
自然のリズムやゆっくりと流れる時間を大切にして、自分流の豊かさを求めて挑戦していきます。
豊かな自然環境の中で、生活の新たな価値を再発見。今まで見過ごされていた青森で生きることの素晴らしさを一緒に見つけていきましょう。

看板となる施策なので、もっと推敲に推敲を重ねて文章は書いてほしい。日本全国の人がこの文章を読むんです。「青森県に住みたい」と思わせる文面を心掛けてください。
冒頭からこういう調子では、正直言って気が重いです。