八甲田・自然の脅威

バレンタインデーの青森は、特に寒くもなく雨がしとしとと降った。低気圧の接近で風は強かった。市内は雨でも山間部は吹雪いた模様。そんな中で痛ましい事故が発生してしまった。
東奥日報記事(2007/02/14)の八甲田で雪崩、2人死亡によれば

 十四日午前十一時二十三分ごろ、青森市の北八甲田の前岳で雪崩が発生し、スキーヤー数人が巻き込まれた−と、一一〇番通報があった。
 県警地域課、関係者らの話によると、スキーのツアー客は、酸ケ湯温泉を出発した二十四人(客十八人、ガイド五人、酸ケ湯温泉社員一人)。このうち、十数人が雪崩に巻き込まれ、午後一時現在、二人の死亡が確認されたほか、一人が行方不明、十人がけがを負っているもよう。県警や県は自衛隊や消防などに応援要請し、救助活動に当たっている。
 同日午前十一時二十三分、ツアーガイドが使用しているアマチュア無線を傍受したアマチュア無線家が一一〇番通報した。同日午前、ロープウェー山頂駅付近は風速三八メートルの強風が吹き、視界は約五、六メートル。ロープウェーは運行していなかった。
 八甲田ロープウェーは「警察から連絡を受けて初めて雪崩を知った。現場はロープウェーから見える距離ではなく、詳しい状況は分からない」と話している。

八甲田山は比較的手軽に山岳スキーが楽しめることで有名だが、常に自然の脅威と隣り合わせである。低気圧の接近で天気が荒れ模様であったのであれば、スキーを中止する勇気も必要だったのでは。曇れば吹雪、晴れれば雪崩、冬の八甲田は特に気をつけなければいけない。
毎日新聞記事(2007/02/14)の<八甲田雪崩>山岳スキー、自然の猛威前に暗転より

 雪煙を吹き上げ白い津波が次々とスキー客らをのみ込んだ。青森・八甲田山系の前嶽山頂付近で14日起きた雪崩は24人を巻き込み、2人の命を奪った。熟練者がスリルを楽しむ山岳スキーは自然の猛威で暗転した。計画に無理はなかったのか、雪崩は予想できなかったのか――。吹雪の中、消防隊員らに救助され下山したスキー客らは雪崩の恐怖におびえた。
(中略)
 青森地方気象台によると、11日午前〜13日午前、県内全域に雪崩注意報が出され、14日も雪崩直後の午前11時10分に同注意報が発令された。同日は銅像ルートでスノーボードツアーも予定されていたが常設コースに変更された。山頂付近では90年3月にも表層雪崩でスキー客1人が死亡している。
 スキーの判断は適切だったのか。スキー客を募集しガイド5人が所属する酸ケ湯温泉(青森市荒川)の関係者は「スキーを実施するかどうかはガイドの判断で、スキーの腕前は相当なものだ。朝の時点では少し風が強い程度で厳しい天候だとは思わなかった」と話した。

同記事によれば、地元スキーガイドの言葉として「雪崩は幅約25メートル、長さ200〜300メートル程度」と予測され、「今回北側斜面で発生したが、先週末に東側の斜面が表層雪崩を起こしていた」と紹介している。