読書・青森県の歴史散歩
「青森県の歴史散歩」は、青森県各地の名所旧跡を解説しながら、青森県の歴史と文化を分かりやすく紹介している。小型の本ながらも300ページを超える膨大な情報量。手っ取り早く知りたい人も、深く知りたい人も満足できるように工夫がなされている。
青森県を大きく8つのゾーンに分けて紹介している。すべて列挙しておくと、みちのくの小京都-弘前、津軽の東根-黒石・平川周辺、津軽新田地帯と西海岸(つがる、五所川原)、そとが浜-陸奥湾周辺(青森市、津軽半島)、下北半島(むつ)、三本木原周辺と十和田湖(三沢、十和田)、八戸市とその周辺、の8つである。(カッコは引用者)
全ページが2色刷りかフルカラーになっていて、かなり見やすい。地図と写真が充実していて、旅行ガイドとしても利用できる。記事中に織り込まれたコラムがいずれも興味深く、歴史の流れやエピソードが分かりやすく紹介されている。
一つだけ難点を述べるのであれば、県都青森市の記述が少ないことだろう。空襲で史跡が破壊されたとはいえ、近現代史の記述が少ないことに起因しているように思われる。青函航路の話など、県都の歴史に配慮が欲しかった。
- 作者: 青森県高等学校地方史研究会
- 出版社/メーカー: 山川出版社
- 発売日: 2007/05/01
- メディア: 単行本
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青森県の近世は度重なる飢饉に苦しめられた。代表的なのが天明の大飢饉(1782〜1788年)。弘前藩領内で約8万人が犠牲になったといわれ、各地に残る鎮魂碑が当時の悲劇を偲ばせる。
1783年(天明3年)はまさに「この世の終わり」であった。アイスランドのラキ火山が大規模な噴火を起こし、日本では浅間山、青森では岩木山までもが噴火。成層圏にまで達した火山ガスは長い間北半球を霧で覆い、冷害と大凶作をもたらすことになった。
相次ぐ火山の噴火、晴れることのない空、失われる食糧・・・様々な技術が進んだ現代においても、同じことが起きたら地獄絵図となることでしょう。先人の苦労を風化させてはいけません。
一連の天変地異により、青森町では1783年7月19日に大規模な打ちこわしが起きた。一連の冷害が遠因となって、1789年7月14日にバスティーユ襲撃が起こり、フランス革命が勃発することとなった。