五所川原・みどり亭


五所川原市羽野木沢の静かな集落に突如表れる大邸宅。立派な門の先に現れる築120年の日本家屋で、蕎麦を頂くことができます。お店の名前は「みどり亭」。門には「初めての方、御一人でも気軽にお入り下さい」の文字。この看板がなかったら、恐れおののいて逃げ去るかもしれません。

大きな玄関の戸を開け、靴を脱いで入店します。玄関の先には囲炉裏のある和室があり、この部屋を抜けて蕎麦を頂く部屋に案内して頂きます。(画像出典:アオモリ探検隊


部屋の中にはテーブル席と座敷席が用意してあります。床の間には立派な掛け軸や仏像が安置してあります。

暖かい季節になれば、美しい庭園を眺めることもできます。(画像出典:アオモリ探検隊

驚いたのが、こちらの書。「阿部先生 福寿 孫文」と書かれています。そ、孫文? 辛亥革命を起こし、「中国革命の父」と呼ばれる孫文(1866-1925)の書らしいです。こちらの邸宅の持ち主は幅広い交友関係をお持ちだったようです。現在の当主は17代目と聞いています。

今回注文したのは、みどり亭(梅)(1,980円)。温かい蕎麦と冷たい蕎麦の両方を頂くことができるメニューです。それぞれの蕎麦は少し軽めにしてあり、食べ比べができるようになっています。ありそうでなかなか見られないメニューですね。

にしんそば
温かい蕎麦は、にしんそば、鴨そば、天ぷらそばから選ぶことができます。にしんそばを発案した京都の老舗「松葉」の「みがきにしん」を使用していて、食べられるのは県内でこちらだけとのこと。にしんを少しかじるとホロッと崩れて、にしんの旨みと香りがフワ〜と口いっぱいに広がります。
にしんの裏には柚子が隠れていて、ちょっとした隠し味になっています。太切りの蕎麦は食べ応えがあって、少し薄口のお出汁との相性も良いです。化学調味料(うまみ調味料)を使わない自然の美味しさを堪能します。

続いて登場したのは、天ざる。冷たい蕎麦は天ざるのみの選択となっています。蕎麦界の王様メニュー・天ざるで、蕎麦の世界をさらに楽しみます。

「みどり亭」の蕎麦は少し太めでコシがあるので、ググッと食べ応えのある蕎麦。プリプリとして力強い蕎麦という印象です。少し醤油が強めながら風味の良いつゆとともに頂きます。
「みどり亭」の本店筋に当たる「余一そば本舗」は、那須御用邸の近くにあり、昭和天皇もご賞味されたという名店。その唯一の支店、東京渋谷の「那須庵」(現在閉店)が、「みどり亭」主人の修行先だったそうです。「みどり亭」の蕎麦粉は、当時と同様に「余一そば本舗」のものを使っているそうです。

カラリと揚げられた美しい天ぷら。シソ、ヤーコン、細竹、海老の天ぷらに、蕎麦を揚げたものが飾られています。海老の天ぷらは、タラバガニの足のように太い天ぷらで、かなり食べ応えがあります。ヤーコンはサクッとした食感と優しい甘みを楽しみます。ヤーコンの天ぷらとは珍しいですね。
歴史を感じる日本家屋で、丁寧に作られた蕎麦に舌鼓を打つ。なかなかの贅沢ではありませんか。
 

お蕎麦と鯛茶 みどり亭
青森県五所川原市羽野木沢字実吉16
0173-29-4566
11:00〜16:00(LO)
(6月〜10月の土日祭日はLO17:00)
水曜日
 
<参考>
アオモリ探検隊(2009/11/11)
アオモリ探検隊(2009/11/12)