下北周遊・恐山

恐山

青森県といえば恐山を連想していた私は、念願かなって恐山を訪問しました。むつ市から上下の勾配激しい山道を行くと、やがて視界が広がると同時に硫黄の独特の臭いが立ち込める場所に出ます。それが霊場恐山への入り口で、打ったように静かな湖面を左手に見つつ進んでいくと、「三途川」と書かれた川を越えます。この川の水は透き通った水色をしているのですが、生き物は全く見当たりません。きれいなのに不気味。

入山料(500円)を払って寺院に入ると、左手にごつごつとした小山が現れます。これが地獄だそうで、ガァーと鳴いて飛び立つカラスが陰鬱とした雰囲気を際立たせます。小山を越えると、なだらかな肩のような曲線を持つ山の前に、鮮やか過ぎる水色の静かな湖面。無機質な砂浜にはポツリポツリと風車が刺してあり、風とともにカラカラと無常な音を奏でます。これが極楽浜の景色(写真参照)なのですが、極楽というにはあまりに無常な感じがします。

現代風に呼ぶなら、体験型仏教テーマパーク恐山。宗教教育が禁止されている公的教育の現場を補完し、言葉では伝えられない無常を体験できる貴重な場所としてオススメです。恐山大祭の時期ではなかったのですが、イタコの口寄せが数個のテントの中で行われていました。猛暑の中で風通しの良くないだけに、イタコの皆さんのご苦労はいかばかりか。