昭和大仏

昭和大仏

青森市中心部より東に車を走らせると、小高い山が現れるようになる。この静かな里山にあって、青森市の微妙観光スポットである昭和大仏(全仏山 青龍寺)を紹介しよう。
癒しを求めて純粋な気持ちで出掛けたとしても、この寺の独特な雰囲気に違和感を持つ人は多いだろう。はっきり言って、ツッコミどころ満載のジョーク系寺院なのである。
拝観料を支払って寺に入ると金堂が目の前にある。ここで早くも違和感のあるものを見つける。金堂の前にある賽銭箱の真隣に両替機が置いてあるのだ。両替機をわざわざ置くだろうか。なお、両替機は境内随所で見かけることになる。
金堂の次は五重塔。1996年完成、高さ39.35mの五重塔は確かに立派な建築だ。木造の五重塔が青森の厳しい冬にも耐えるというのは素直にスゴイだと思う。唯一マトモな場所である。
境内を歩いて少しずつ違和感を感じるようになる。境内に流れるBGMは何だろう。喜多郎シンセサイザーだろうか。癒しだから喜多郎だなんてヒネリも何もない。かえって胡散臭くなっている。苔むした境内を見ているだけでも癒しの効果はあるのに。
住職の映像音声がうるさくて休憩する気になれない無料休憩所を越えると、遂に大本命の昭和大仏が現れる。1984年完成の昭和大仏は、青銅坐像では日本一の高さ21.35mを誇る大日如来像である。確かに大きな大仏だ。抜けるような青空の下、緑に囲まれた大仏は見る価値があったように思う。ただ、大仏の下は仏像のレリーフなどが飾られた空間となっているが、どこまでも落ち着けない雰囲気である。
大仏を離れ歩き出すと面白いことに気付く。大仏は高台にあるので本来ならば寺の外からでも容易に見えるはずである。しかし、覆い隠すように鬱蒼たる竹林が大仏の前に広がっているので、外部から大仏が見えないようになっている。
細い小道を降りていくと「四国八十八ヶ所お砂踏霊場」がある。あまり大きくもない池の周囲に足の形をしたプレートが埋め込まれ、池を一周する構造になっている。各プレートには四国八十八ヶ所四国八十八箇所霊場の各札所の名前が刻まれ、その札所の聖砂(どういう砂?)が埋め込まれているそうだ。四国八十八ヶ所巡礼が体験できるようにと、ご丁寧にわらじと杖まで用意されている。わらじと杖でプレートの上を歩く姿を客観的に想像したら、いたたまれなくなったので早々に退散した。
このお寺は年間パスポート(1,000円)を買えば1年間何度でも入山できるそうだ。いくつこの寺にツッコメるかという気持ちで、是非訪問してほしい場所である。

参考:http://www41.tok2.com/home/kanihei5/syowadaibutu.html

全仏山 青龍寺 (昭和大仏)
青森市大字桑原字山崎45
017-726-2312
開山時間 4月から10月:8:00-17:30 11月から3月:9:00-16:30
参拝料 大人(大学生以上)400円 小人(小学生以上)200円