商業施設不許可の波紋

コンパクトシティ構想を進める青森市は、同市浜田の「かねさ」跡地への商業施設建設を認めなかった。この問題に関連して、東奥日報2007年1月12日記事のかねさ跡地SC否認「経営に支障」より

郊外の無秩序な開発を抑制する条例により、大型ショッピングセンター(SC)の建設計画を青森市が認めなかった同市浜田の「かねさ」工場所在地について、近隣住民らが十一日夕、まちづくりの勉強会を開いた。開発業者側の都市計画コンサルタントが講師を務め、「予定地は郊外ではなく人口密集地域で、市の判断はきわめて不合理」と主張した。一方、土地を提供するかねさは同日の本紙取材に対し、大型SCが建てられず、予定地の評価額が大幅に下がって予定通りの売却収入が入らなかった場合、経営に大きな支障が出ると説明。実害が出た際は、市を相手にした損害賠償訴訟も選択肢の一つ−との立場を示した。
勉強会には約五十人の市民らが参加。講師が市側の問題点として(1)事業者に説明責任を果たしていない(2)予定地価格の下落を指摘したかねさの意見書を無視した−ことなどを挙げた。浜田地区の二唐壽郎・玉川町会長は「市の意見を聞く場も設け、それでも開発規制に納得できなかったら署名などの運動を考えたい」と語った。予定地の近くに暮らす住民からは「商業施設の立地で生活環境が崩れる」とSCへの反対意見も出た。

かねさは昨年四月下旬、浜田工場敷地を約四十一億円で不動産開発会社サンシティ仙台市)に売却する契約を結んだ。金額の八割程度は既に支払われているが、残金は大型SCの建設が認められれば受け渡す契約になっている。

かねさ担当者は、市の判断が最終的に確定する今月下旬の都市計画審議会を見守るとしながらも、「売却収入に関してすでに資金繰りに問題が生じており、浪岡地区への移転計画についても、当初予定していた本社と工場の新築を断念した」と説明。浪岡地区にある既存工場への設備の移動にも影響が出る可能性があるという。

役所が民間事業に介入し、損失を発生させていいのだろうか。今回の損失は目に見える損失であるが、今後コンパクトシティ構想を進めることで、目に見えない損失も多く発生するだろう。具体的には、大型商業施設が建設されないことで失われる商品の多様性、業者が青森市を敬遠するようになることがもたらす不利益などである。
青森市浜田の商業施設は認められないのに、青森環状道路(国道7号線)沿線の大規模な住宅地の整備事業は平然と進められる矛盾。本当にコンパクトシティにしたいのであれば、郊外型の住宅地開発も抑制すべきではないのか。