初詣の歴史

新年最初の行事である「初詣」は、明治時代に入り鉄道会社が広めた「伝統」だった。こんな内容のエントリーが、多くのブロガーに「初詣の歴史」を論じる機会を与えている。
初詣の歴史を皆知らない - mmpoloの日記
調べていくと、次のエントリーが興味深い内容となっていた。
http://triceratops.cocolog-nifty.com/blog/2007/01/post_5dce.html
こちらに引用されている2006年12月30日付け日本経済新聞に「初詣の歴史」が紹介されている。

研究者によると、いまのような初詣は明治時代以降の習慣だという。国立歴史民俗博物館教授の新谷尚紀さんは、日本古来の正月について「元日は家族そろって家にこもり、年神(歳徳神)がやって来るのを静かに待つのが習わしだった」と説明する。年神とは一年の幸福を年初にもたらす福の神だ。こうした正月の習わしが初詣に変化する過程で、三つのポイントがあった。
最初は江戸時代後期の19世紀。年神のいる方角を「恵方」といい、毎年変わる。その年の恵方にある寺社に参拝する「恵方参り」が、町の庶民の間で流行し始めた。

興味深いことに、年神様をお迎えするしきたりがESEさん(青森県在住)の記事で紹介されています。
正月飾り、青森のしきたり? : 青森からこんにちは
江戸期までは、家の中で静かに年神(歳徳神)をお迎えする習わしや、恵方にある寺社に参拝する「恵方参り」が一般的でした。
明治以降になぜ「初詣」が行事になったのか。これは新政府が行った神道改革が大きな影響を与えているようです。詳しく論じる時間も能力もないので、http://kousyoublog.jp/?eid=1340に書かれている分析を紹介しておきたいと思います。

つまり、恵方詣では明治期にブームが収束しつつあり、比較的氏神詣でをせず行きたいところに行く風潮が少しづつ醸成されていた。そこに鉄道という流通と人の移動を飛躍的に向上させる産業変化と、明治維新という価値観の変化という社会構造の変化の中で、鉄道会社が恵方なんて気にせず元日は好きな神社仏閣に参拝しようというPRを打ち出した。

都市への人口移動による「氏神」不在層の出現、神道改革による恵方詣での衰退、交通網の発達など様々な要因が重なって、「初詣」という行事が人口に膾炙したようです。