勝むら・最後の味


青森市古川にあるトンカツ専門店「勝むら」が2008年9月20日に閉店する。そんな話をtakapuさんから聞きつけ、滑り込む感じで訪問した。
お店を入ると左側に厨房を取り囲むようにカウンター席がある。閉店まで10日を切ろうとしているが、いつもと変わらぬ所作でカツは作られていく。
厨房のテーブルの引き出しの中にはバットが置かれていて、右から順に小麦粉、卵、パン粉が入っている。カツの注文が入る度に、テーブルの上で肉に下準備を施し、薄く小麦粉をまぶし、ドポンと卵をしっかり付け、バサッとパン粉を付けていく。テーブルの上でギュッギュッと整形しながらパン粉をさらにしっかり付ける。パン粉が完全に付いたところで、テーブルから滑り落とすように油の海に投入する。
カツの揚がる音を聞きながら、料理人は時計を見るでもなく、野菜を切ったり皿を準備したり黙々と作業を進める。カツの揚がる音がパチパチと変わり始めると、時々カツを泳がせるが、素人目には長い時間揚げているように見えた。


みそかつ定食」(1,365円)。厚みがありながら、さっくりとした衣をまとうロースカツ。たっぷりの千切りキャベツが添えられる。添えられた味噌ダレを付けて食べる。味噌ダレは名古屋の「矢場とん」を参考にして作られた甘辛いタレ。「矢場とん」よりも甘さは抑え目で、引き締まった味わい。

「勝むら」の味噌カツはロース肉に特製の味噌を大葉と一緒に挟み込んでいる。内側と外側から、コクのある味噌に攻められる。大葉の風味も心地よい。柔らかさも旨みも備えたロース肉がガッチリと味噌と手を結ぶ。

静かに料理人の包丁の音は鳴り続く。
毎日日替わりでサービスメニューが200円引きで提供されている。日替わりなので、サービスメニューがみそかつ定食の場合もあれば、おろしかつ定食の場合もある。
 
とんかつ 勝むら
青森市古川1丁目18-10
017-723-4673
11:00〜21:00 (20:30 LO)
年中無休(お盆、正月等一部除く)
 
2008年9月20日閉店予定