浅虫温泉・椿館(1)
冬の青森を巡るツアーを敢行しました。ツアーで巡った場所をゆっくりと紹介していきたいと思います。知られざる冬の青森の魅力が少しでも伝われば嬉しく思います。
青森県の浅虫温泉は、「海も山も温泉も」楽しむことができる温泉地です。数多くある浅虫温泉の旅館の中から、今回は棟方志功ゆかりの宿として知られる「浅虫温泉 椿館」に泊まりました。
結論から言わせてもらうと、大変満足のいく旅館でした。特に棟方志功ファンであれば、是非一度泊まって頂きたいです。
「椿館」の由緒を社長自ら説明して頂く機会を得て、なぜ「椿館」が棟方志功ゆかりの宿になったのか知ることができました。
1876年(明治9年)の明治天皇東北巡行の折り、明治天皇は浅虫温泉にお泊りになり、現在の椿館の温泉にも入られたそうです。その時に天皇が目が覚めるような(目が洗われるような?)気持ちの良い湯であったという感想を述べられ、その逸話からいつしか目に効く温泉という評判が立つようになったそうです。
棟方志功は多くの人が知るように強い近眼を持っていたので、「目に効く」という評判を聞いて「椿館」を訪問したそうです。棟方はこちらのお湯がとても気に入って、長きにわたり訪れるようになったそうです。逗留中にいくつかの作品を残しており、旅館のロビーに作品が飾られています(宿泊客以外の観覧もできるそうです)。
ロビーに飾られた一番大きな作品は見るものを圧倒します(照明や明るさの関係で、写真は綺麗に撮れませんでした)。自由闊達に描かれた天女の姿は美しく伸びやか。見ているだけで癒されます。
右から「萬里水雲長慈航又何處(ばんり・すいうん・ながく・じこう・また・いずこ)」と書かれています。慈航とは、仏が慈悲の心を以って衆生(しゅじょう:生命のあるものすべて。特に人間を指す)を救う舟のこと。
人生ははてしない大海原を漂うごときのもので、何処へ行くのか分からない。今日もまた菩薩の慈しみを信じて航(ゆく)のみである。という意味で、人生の機縁の深さを示す言葉だそうです。
この意味を知って、とても感動しました。今この青森の地にいること、青森の地で出会った人のこと、去り行く人のこと、嬉しさ悲しさ・・・そのすべてがグルグルと頭を駆け巡り、しばし感慨にふけってしまいました。
このブログをご覧頂くことも、ある種のご縁です。誠に「めぐりあわせ」というものは奥が深いものだと思います。
(つづく)
浅虫温泉 椿館
〒039-3501 青森市浅虫字内野14
017-752-3341