青森やきそば3

青森の隠れた名品の一つに「焼きそば」がある。焼きそばをめぐって、青森の東西横綱と評される名店2軒、鈴木やきそば後藤やきそば店はすでに紹介している。
青森の焼きそばのルーツについては、http://marugoto.exblog.jp/2089140/の記事が詳しい。

青森のソース焼きそばの原点は、終戦直後から昭和30年代中頃まであった市の中心部を流れる堤川沿いの屋台といいます。当時の焼きそばは肉の代わりに魚肉ソーセージ、そして少量の野菜といったシンプルなものだったそうです

先述の東西横綱と並んで美味しいと評判の「小鹿」の焼きそばを紹介しよう。青森の焼きそばの原型とも呼べる「伝統の味」を楽しむことができる。


「小鹿」は金沢小と甲田中の間にある狭い路地を入った場所にある。「買い食い」にうるさくなかった時代には、学校帰りに寄ることもできたのであろうか。
お店は庶民的なたたずまい。実は去年3月に焼きそばの記事を書いていた時、何度も入店を試みたのであるが、青森経験値の浅い私には入りにくい印象があった。それが今となっては「楽勝レベル」。にっこりと微笑むおかみさんに心も和む。

店内を見渡せば、色あせたメニューの紙。最近の原料高騰の波にもめげず、安価な焼きそばの提供に努力を惜しまれないようだ。
焼きそばは、小、中、大、特大、特々大と人間の成長段階に合わせたかのようなラインナップ。すべて並べたら、ロシアの民芸品マトリョーシカのようになるだろうか。

焼きそばの大(400円)。
青森の焼きそばの特徴は、どっしりと太い麺と濃厚なソース、そして禁欲的なまでにシンプルな具材が挙げられる。「小鹿」の焼きそばは、まさに「青森の焼きそば」を絵に描いたような一品だ。
「焼きそばは麺を食べるもの」と言っても過言ではないほどに、極太で食べ応えのある麺。野菜の旨みをたっぷり蓄えた濃厚なソースは、程好い酸味と濃厚な旨み。ソース好きには堪らない味わい。
具材は極めてシンプルにキャベツと小さな魚肉ソーセージ。小さく細く切られた魚肉ソーセージはソースをたっぷり吸って黒っぽい。正体を知らなかったら何か分からないかもしれない。
てっぺんには焼きそば定番の紅生姜と青海苔。ふわりとくすぐるソースの香りと青海苔の香り。否応なく食欲をそそられる。単調になりがちな味わいをグッと引き締める紅生姜は、まさに名脇役
食べ始めたらあっという間に完食。メニューにある「特々大」(600円)も案外簡単に行けてしまいそうだ。

「昭和」を感じる店内は懐かしさでいっぱい。
 
小鹿ヤキそば店
青森市金沢4丁目16-41
017-776-2377
8:00〜20:00
不定