イサム・ノグチ展

イサム・ノグチ「真夜中の太陽」

先週末は出張で東京・横浜に出掛けていました。時間を作って横浜美術館で開催されていたイサム・ノグチ展に行ってきました。(横浜会場の会期は6月25日までで現在は終了。)
今回の展覧会で良かったのが、イサム・ノグチドキュメンタリー映画。30分間の映像ながら、イサム・ノグチが自ら語る芸術観や世界観は興味深かった。特に記憶に残ったのが、「我々は現在だけでなく過去の中を生きている」という言葉。現代人は決して現在だけを生きているだけではなく、今までに積み重ねられた歴史、文化、伝統、血脈など様々な過去からの履歴をすべて背負って生きている。私はこのように解釈したが、何と深い言葉だろうと身に沁みた。
いつの時代の作家であれ、作品を通じて製作者のメッセージを受け取ることはできる。しかし、現代作家であれば映像などを通じて、直接製作者のメッセージを聞くことができる。単純だけど、これは現代作家が持つ優位性のようなもので、我々はより明確に作家のメッセージを受け取ることができる。まさにcontemporary(同時代)だ。芸術家の生の声がここまで興味深いものとは思わなかった。
写真は「真夜中の太陽」(1989年)。円は無限の象徴、太陽は万物の根源であることを改めて教えてくれる。コイルのような模様が、磁力線のようなダイナミックな動きにも見える。縞模様の不規則性(非対称性)は動きを加速させる。

イサム・ノグチ展は2006年7月8日からは滋賀県立近代美術館で開催。