八戸・「合掌土偶」国宝に


八戸市の風張1遺跡から出土した「合掌土偶」(縄文時代)が国宝指定の答申を受けた。青森県では3件目の国宝となり、3件とも八戸市内にある。
デーリー東北2009年3月20日記事の『「合掌土偶」国宝に(2009/03/20)』より

国の文化審議会(西原鈴子会長)は十九日、八戸市の風張1遺跡から出土した市所有の「合掌土偶」(縄文時代)を国宝(美術工芸品のうち考古資料)に指定するよう塩谷立文部科学相に答申した。国内に合掌した座像で完全形の土偶がほかにないことや、縄文時代の習俗を現代に伝える造形的、学術的価値が高く評価された。六月ごろの官報告示で正式決定する。
青森県内の国宝は、一九五三年に指定された同市の櫛引八幡宮の「赤糸威鎧(あかいとおどしよろい)」「白糸威褄取鎧(しろいとおどしつまどりよろい)」以来、五十六年ぶり三件目。いずれも八戸市内にある。
縄文時代の国宝としては「縄文のビーナス」(長野県、九五年指定)、「火焔土器」(新潟県、九九年指定)、「著保内野遺跡の土偶」(北海道、二〇〇七年指定)に続き四件目。
合掌土偶は一九八九年七月、同市是川除ケ森の風張1遺跡の発掘調査で発見された。発掘場所は現在の養護老人ホーム八戸市立長生園。
大きさは高さ一九・八センチ、幅一四・二センチ、奥行き一五・二センチ。縄文時代後期(約三千五百年前)の竪穴住居跡から壁に安置されたような状態で出土。左脚は欠けていたが、同じ住居跡から見つかった。
その後の調査で、四カ所の割れた部分が、縄文人によって天然の接着剤であるアスファルトで修復され、全体に赤色塗料が塗られていたことが判明した。
合掌土偶について同審議会は、「発掘調査により出土状況が明らかで、学術的価値は極めて高い」と指摘。さらに、▽アスファルトでの修復▽全身の赤色塗料▽合掌形▽全体がすべて残っている―などの特徴が「縄文時代の習俗を考える上で極めて高い価値がある」と評価。国宝指定が妥当と判断した。
風張1遺跡では、合掌土偶を含む六百六十四点の出土品が、九七年六月、国の重要文化財(重文)に指定されている。

青森県内の国宝がすべて八戸市内にあるというのは興味深い。すでに指定されている国宝2件は次の通り。

櫛引八幡宮の「赤糸威鎧(あかいとおどしよろい)」(鎌倉時代

櫛引八幡宮の「白糸威褄取鎧(しろいとおどしつまどりよろい)」(南北朝時代
<画像出典> 青森県八戸市「櫛引八幡宮」ウェブサイト「国宝館」のページ
 

なお、有名な「遮光器土偶」青森県木造町・現つがる市出土、東京国立博物館所蔵)は重要文化財。2009年3月31日〜4月5日に東京国立博物館・本館1室で展示予定。
 
<参考>
青森県の国宝3つが八戸に集結: 青森からこんにちは