寿し文
青森市本町にある「寿し文(寿司文)」は、養殖ものは一切使わない、旬でないネタは無理に揃えないというこだわりを見せる寿司店である。こちらの店主の態度を見ていると「じょっぱり」という言葉がピタリと当てはまる気がする。「強情っ張り」が転じて生まれた言葉であるが、津軽人の気質を表すとされる。自らが不利になることを承知で、筋を通そうとする実直さ。こちらの店主の姿、そのままである。
店内は入ると長いカウンター席となっている。一品料理の類はあまり用意されていなく、寿司が中心の店である。にぎり寿司は菊(1,200円)から始まり、梅、竹、松、寿まで並ぶ。にぎりが1,200円から食えるというのは嬉しい限り。今回は寿(3,150円)を注文してみた。
天然マグロは嫌なマグロ臭さがなく、スッと食べられてしまう。この旨さを知ったら、なかなか普通の寿司が食べられなくなる。
赤貝の心地良い弾力と旨さに驚いた。旨いものは自然旨そうに写るものだ。
北の味覚、ホッキ貝は隠れた青森の名産。旨みが凝縮されている。
青森のホタテは甘くて旨い。さすが青森!
ウニ(季節限定)
養殖ものも旬でないネタも並べないということは、ウニは夏の時期しか置かないということ。
店主は正直だ。旨いものは旨い、不味いものは不味いと平気で言い切る心意気。こちらのウニも季節ギリギリのもの(写真は9月上旬のもの)ということで、「これからは不味くなるから置かない」とキッパリ。ウニが載らないと客が喜ばないのは百も承知だが、これは譲れないと言う。
穴子焼き
生きた穴子を仕入れて、穴子焼きに仕上げるのが「寿し文」流。オススメの逸品。
正直なところ、店主の実直すぎる正直さは好き嫌いを分けると思う。反面、「旨いものを教えてもらおう」という気持ちがある方にはオススメしたい店でもある。店主は正直なので、ネタについて産地も味の状態なども丁寧に教えてくれる。こういうことは普通の職人はあまり教えてくれない。ネタに絶対の自信を持つ店主だからできることなのだ。
少し玄人好みのする雰囲気の寿司店であるが、寿司は確かに旨い。
寿し文
017-773-3200
青森市本町5-1-14
17:00〜22:00
木曜休